めまい、放っておくのは危険?
原因や対処法を知っておこう!
2018/10/15
便秘、大人ニキビ、口唇ヘルペス、毛穴ケア、生理痛など、女性特有の身体の不調について、専門医に解決法を教えてもらう「女性のお悩み相談室」。今回のテーマは「めまい」。めまいの女性患者は、なんと男性の約3倍だそう。めまいが不安で、旅行や遠出が心配……なんていう女性も多いのでは。
めまいの対処法・予防法を、長年めまいの研究を続ける「めまい専門医」が解説。めまいの種類と原因、めまいが起きたときの対処法、めまいの予防法をお教えします。たかがめまいとあなどるなかれ。その裏に病気が隠れていることも……。
目次
あなたのめまいは、どれ?
めまいの種類と原因。

多くの女性たちを悩ますめまい。実は、めまいの9割は耳が原因です。私たちの体は、バランスをとるために、目・耳・足の裏からの情報を小脳に集めて、コントロールしています。中でも、耳(内耳)は中心的な役割を担っているので、耳に不具合が起こると、バランスがくずれてしまいます。
めまいの起こり方には、以下4つの種類があります。
1.視界がぐるぐる回る「回転性めまい」
周囲のものがぐるぐる回ったり、天井やカーテンが流れて見えたりします。立っていられず、横になったまま動けなくなる人も。回転性のめまいは、三半規管(耳の奥にあるバランス器官。回転を感知する)の障害で起こることがほとんどです。症状は、数分間で終わることもあれば、数時間続くこともあります。
2.体がぐらぐらする「動揺性めまい」
頭や体がぐらぐら、あるいはゆらゆらと揺れている感じがする症状です。歩いているときに足もとがふらついたり、まっすぐ歩けなかったりすることもあります。これは、片方の三半規管の機能低下が著しいときに起こります。まれに小脳に原因がある場合も。
3.体がふわふわする「浮動性めまい」
体が宙に浮いたよう、ふわふわのマットの上を歩いているよう……といった表現をする患者さんが多く、症状が長引く傾向があります。耳石器(耳の奥にあるバランス器官。頭の向きや傾き、加速度を感知する)の不調が関係していることが多いのですが、中には脳の障害に起因するめまいが隠れていることも。
4.立ち上がったときにふらっとする「立ちくらみ」
若い女性に多く、座っていて立ち上がったときにふらっときたり、長く立っているうちに気分が悪くなったり……といった症状です。これは、耳や脳の障害のほか、低血圧、睡眠不足、疲労などが原因でも起こります。
突然のめまい、
どう対処する?

突然激しいめまいにおそわれたら、誰でも気が動転します。でも、頭痛や意識の薄れ、しびれ、マヒなどをともなわないめまいは、生命に直接かかわることはありません。激しいめまい発作が起こっても、あわてないことが肝心です。
まずは、転倒しないように気をつけながら、座れる場所や横になれる場所へ移動し、同時にゆっくり深呼吸をします。自宅だったら椅子かソファに座り、横になれるようだったら横になりましょう。誰かそばにいれば、音のするものや照明は消してもらい、なるべく静かな環境にしてもらってください。外出先で、同行者がいればその人に伝えて、休める場所に連れて行ってもらいましょう。1人のときでも、周囲に人がいる場合は、遠慮せずに助けを求めてください。
横になれる場所を確保できたら、衣服はゆるめ、ラクな姿勢で安静にしてください。普通は、悪いほうの耳を上にして寝るとラクですが、仰向けがラクなら仰向けでも構いません。
普通のめまいは、しばらく安静にしていれば治まるはず。激しいめまいがなかなか治まらない、嘔吐が伴う。そんなときは、我慢せずにすぐに病院へ行きましょう。ろれつが回らない、目の前が真っ暗になった。そんな症状があったときは、すぐに救急車を呼んでください。
受診すべきめまいとは?
めまいの予防法も。

めまいは、疲れているときや睡眠不足が続いたとき、風邪などで体調をくずしたとき、よく現れます。体調の回復とともに、めまいやふらつきの症状が消えるようであれば、特別に医療機関を受診しなくてもいいでしょう。しかし、症状が長引いたり、悪化したり、繰り返し起こったりする場合は、専門医に相談を。耳鼻科を受診し、それでもめまいが改善しないときは、日本めまい平衡医学会のウェブサイト等からめまいの専門医を検索し、受診してみてください。
めまいの病気といえば、メニエール病がよく知られていますが、これはめまいの患者全体の5%ほど。今は、良性発作性頭位めまい症が最も多く、その他には突発性難聴、前庭神経炎、前庭性片頭痛、加齢性平衡障害などが挙げられます。
リンククロス世代の20~30代女性に起きやすいのが、前庭性片頭痛です。この病気には、遺伝と女性ホルモンが大きく関係しているといわれ、特に生理の前後に、片頭痛とめまいに悩まされる女性が多いようです。ただし、一般の耳鼻咽喉科に行くと、片頭痛が原因のめまいにもかかわらずメニエール病と誤診されることも。片頭痛持ちでなかなかめまいが治らない女性は、日本めまい平衡医学会のめまい相談医・専門医を受診し、前庭性片頭痛と正しく診断・治療してもらうことを強くおすすめします。
最後に、めまいを予防する6つの生活改善ポイントをお伝えします。
- 定期的に運動をする。
- イワシやサバを食べてオメガ3脂肪酸を摂取する。
- 朝、日光を浴びる。
- 適度な睡眠をとる。
- 孤独にならず、友達と交流する。
- くよくよ悩まない。
つらいめまいから少しでも解放されるよう、こうした生活習慣を身につけましょう。
まとめ
- ・めまいの9割は耳が原因。
- ・めまいの起こり方には、ぐるぐる、ぐらぐら、ふわふわ、ふらっ…の4つがある。
- ・突然のめまい、まずは静かな場所で安静に。
- ・めまいが治まらない、繰り返す、気になる症状がある。そんなときは、必ず病院を受診して。
――参考文献『女性のつらい「めまい」は朝・夜1分の体操でよくなる!』(PHP研究所)、『めまいは自宅で治せる』(SBクリエイティブ)、『めまいは自分で治せる』(マキノ出版)すべて新井基洋著

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プロフィール

新井基洋
あらい・もとひろ/横浜市立みなと赤十字病院めまい平衡神経科部長。日本めまい平衡医学界専門会員、代議員。89年北里大学医学部卒業後、国立相模原病院、北里大学耳鼻咽喉科を経て、現職に。95年に「健常人OKAN(視運動性後目振=めまい)」の研究で医学博士取得。96年、米国ニューヨークマウントサイナイ病院において、めまいの研究を行う。
編集/リンククロス イラスト/小西まりえ 監修/新井基洋