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35歳以下でも乳がんにかかる?若年性乳がんについて知ろう

knowledge : おっぱいを知る

DATE : 2018.10.15

35歳以下でも乳がんにかかる?若年性乳がんについて知ろう

乳がんは40歳以上の女性に多い病気です。しかし、30歳代以下の若い世代でも乳がんにかかることがありますので、油断はできません。事実、乳がんの増加に伴って、若い世代の乳がんも増えています。この記事では若年性乳がんの傾向、特徴や治療、治療後の生活のことなどについて、医師監修のもと解説します。

目次
・若い世代にみられる乳がんの特徴
・若年性乳がんになりやすい人とは
・ライフステージに合わせた治療が必要
・若年性乳がんを早期発見するために

監修:平松レディースクリニック院長平松秀子先生 

若い世代にみられる乳がんの特徴

国立がん研究センター「がん情報サービス」によると、2016年には9万人の日本人女性が乳がんにかかったと推計されています。また、厚生労働省の調べによると、乳がんで亡くなる女性は2013年には1万3000人を超え、35年前と比べて3倍以上にもなっています。乳がんにかかった人の全体から見ると、若年性乳がんの占める割合は少ないですが、乳がんの増加に伴って、若い世代の乳がんも増えています。

・若年性乳がんとは?



35歳未満でかかった乳がんを「若年性乳がん」といいます。乳がん患者数全体に対する35歳未満の割合は2.7%、30歳未満はわずか0.5%と少数です。上の表の年齢分布を見ても、乳がんの発症はやはり40歳を過ぎてからが多く、60歳代にピークに達し、その後、徐々に減少しています。

とはいえ、乳がん患者は増加していますので、必然的に若年性乳がんにかかった人の数も確実に増えています。

・若年性乳がんの症状とは?

乳がんの症状としては、若くてもそうでなくても基本的には同じですが、いくつかの傾向が見られます。
ひとつは、乳がんの「しこり」の大きさです。発見時のしこりの大きさの平均が、若年(35歳未満)は2.9㎝、非若年(35歳以上)が2.4㎝となっています。
このようなことが起こる要因としては、35歳未満は国の乳がん検診が実施されておらず、「しこりが大きくなってから自分で気づく」というケースが多いからだといわれています。「自ら検査に行く」という意識も薄い若い世代でもあるため、すでに進行した状態で見つかることが多くなってしまうのです。 

若年性乳がんにかかりやすい人とは

若年性乳がんにかかる確率は低いことから、若い人がむやみに怖がる必要はありませんが、どのような人にリスクがあるのか知っておくことは大切です。

・遺伝的な要因が影響するケースも

乳がんには、遺伝が関係しているものとそうでないものがあります。家系の中に乳がんの人が複数いるケースは「家族性乳がん」と呼ばれますが、その中でも乳がんに関係する遺伝子に異常が認められるものは「遺伝性乳がん」と呼ばれます。

若い年齢で乳がんになった方の場合、遺伝性である確率は高いといえるでしょう。そのため、血縁者に乳がんや卵巣がんにかかった方がいる、しかも40歳以下の若いときに発症しているという場合は、若年性乳がんに気をつける必要があります。

・遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)について

若年性乳がんに関係しているとみられるのが「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」です。このがんは、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子の変異を生まれつき持っていることで、高い確率で発症するとされています。
アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーさんがHBOCを告白したことでも知られました。高い確率で乳がんや卵巣がんを発症するとはいえ、HBOCは乳がん、卵巣がん全体の約1割以下であるということです。

・その他の環境要因や体質などについて

その他の因子としては、初潮が早い女性や妊娠・出産していない女性は乳がんのリスクが高くなることが知られています。また、飲酒が多いこともリスクを高めることにつながります。
また、若年性の乳がんに限りませんが、閉経前の女性の乳がんのリスク要因として、「乳がんは早期発見が大切」のページのチェックリストも参考にしてください。 

ライフステージに合わせた治療が必要

若年性の乳がんとそれ以外の年代の乳がんとでは、治療の基本的な考え方に違いはありません。しかし、若い世代の女性特有の事情に配慮して治療方針を考えていく必要があります。

これから結婚・妊娠・出産・育児を控えている世代でもあるため、乳房を残す乳房温存手術を希望するのか、乳房を切除する必要がある場合は乳房再建術を希望するか、ということを医師や医療スタッフと相談することが大切です。

・妊娠・出産を考えている場合の治療

若い世代は、近い将来に妊娠・出産を希望する方も多いでしょう。基本的には、妊娠・出産、授乳が乳がんの再発の危険性を高めるという証拠はありません。また,乳がんの治療後に妊娠・出産しても、赤ちゃんに異常が起こる確率が高くなるわけではありません。

抗がん剤の投与を受けた場合、抗がん剤によって卵巣がダメージを受け,抗がん剤治療中や治療後に月経が止まってしまうケースはあります。卵巣機能に障害を引き起こす可能性のある代表的な抗がん剤の使用については相談が必要です。

抗がん剤の多くは赤ちゃんに影響を与えることがありますので、治療中の妊娠は避けて、治療が終わってから妊娠は可能になると考えておきましょう。 

早期発見のための自己検診

乳がんは自分で発見できる数少ないがんのひとつです。とりわけ、35歳未満は国の乳がん検診が実施されていないことから、早期発見のためには、自らチェックすることが大切です。

・自己検診の方法

自己検診は月に1回行いましょう。乳房は、排卵から月経前にかけて、ハリや痛みが出やすくなります。したがって、この時期にチェックをしてもわかりにくいため、月経が終わり、乳房がやわらかくなるまで待ちましょう。月経開始日から5〜7日目に行うのがベストなタイミングです。

詳しくは「月1おっぱいチェック」を参考にしてください。

・定期的に医療機関を受診

自己診断で異常や違和感があれば、すぐに医療機関を受診してください。乳房のことは、婦人科ではなく乳腺科が専門であることがほとんどです。
また、自己検診で違和感はない場合でも定期的に医療機関で検査をすることは大切です。

乳がん検診はマンモグラフィとエコー(超音波)検査の両方を行うのがベストですが、若い世代の場合は、乳腺が発達していても異常を映し出すことができる、エコー(超音波)検査の方が小さなしこりの発見には適しています。
このように、若い世代の乳がんは特に意識を高めてチェックをしないと見つかりづらいのです。ご自分の乳房の健康に早い時期から意識することは、実際に罹患のピークを迎える年代になったときにも役立ちます。今のうちから良い習慣を身に付けておくことは、生涯に渡っての早期発見、重症化を防ぐことにつながるでしょう。

PROFILE

【監修】平松秀子先生 HIDEKO HIRAMATSU

平松レディースクリニック院長
東京女子医科大学卒業。慶應義塾大学大学院医学研究科修了。慶應義塾大学医学部放射線科学教室助手、米国ハーバード大学留学、慶應義塾大学医学部放射線診断科助手を経て、2005年より現職。医学部卒業後、一貫して乳がんなどの乳腺疾患の診断、治療に携わる。日本医学放射線学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、日本乳がん検診精度管理中央機構検診マンモグラフィ読影認定医師。
http://www.hiramatsu-clinic.jp/

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