授乳中も受けたい乳がん検診…赤ちゃんのために気をつけたいこと

knowledge : おっぱいを知る

DATE : 2018.11.08

授乳中も受けたい乳がん検診…赤ちゃんのために気をつけたいこと

乳がんの早期発見のためには、定期的な乳がん検診を受けることが大切です。「でも授乳中はムリでしょう?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。授乳中でもきちんと乳がん検診を受けた方が良いのです。どんな検査が受けられるのかはもちろん、赤ちゃんのために気をつけたいことについて、医師監修のもとご紹介します。

目次
・授乳中でも乳がん検診は受けられる!適切な検査法は?
・しこりがある気がするけれど、これは乳がん?
・授乳中も、乳がん検診を受けましょう

監修:むらさき乳腺クリニック五反田 院長 池田紫先生 

授乳中でも乳がん検診は受けられる!適切な検査法は?

もしかすると誤解している人もいるかもしれませんが、妊娠・出産・授乳をしている期間中でも、乳がんにならないわけではありません。妊娠してから授乳を終えるまでずっと検査を受けずにいると、乳がんを早期発見できず症状が進行してしまうこともありえるので注意が必要です。

・授乳中でも乳がん検診を受けた方が良いのはどんな人?

30代以上になると乳がんになるリスクが高まるので、授乳中でも乳がん検診を受けましょう。20代でも、血縁者に卵巣がんになった方や、40歳未満で乳がんになった方、男性で乳がんになった方がいる場合などは、乳がんになりやすい遺伝子を持っている可能性が高いため、積極的に乳がん検診を受けてください。

・授乳中は、エコー(超音波)検査を受けましょう

乳がん検診の基本的な方法は、「視触診」「エコー(超音波)検査」「マンモグラフィ」の3つです。医師が乳房をその目で見たり触れたりして病気がないかどうかを確かめる「視触診」に加え、乳房の内部を調べるための検査として「エコー検査」と「マンモグラフィ」があります。
一般的にはエコー検査とマンモグラフィの両方を組み合わせて受診すると良いとされていますが、授乳中はエコー検査を受けましょう。

なぜなら、マンモグラフィはX線撮影のため、微量ではありますが、放射線の被ばくがあります。妊娠期から授乳期の被ばく量は最小限にした方が良いため、マンモグラフィ検査は、断乳してから6ヵ月経過した時期を目安に受けるようにしてください。
ちなみに、もしマンモグラフィを受けたとしても、授乳中の乳房は乳腺が発達しているため全体が白く写ってしまい、正確な診断が困難なケースがほとんどです。

・エコー(超音波)検査とは?

エコー(超音波)検査は、医師による「視触診」では確認できないような小さなしこりを見つけ出すことに適しています。 ゼリーを塗った乳房表面に、超音波を発する「プローブ」という器具を当て、さまざま方向に滑らせながら、乳房内部の画像を映し出していきます。はね返ってくる超音波の映像から、病変がないかどうかを調べる検査です。診察台の上であおむけになった状態で行われます。検査中の痛みはなく、放射線による被ばくの心配もありません。 

しこりがある気がするけれど、これは乳がん?

赤ちゃんに母乳をあげた直後なのに乳房の一部分が固くなっていたり、母乳詰まりが頻繁に起きたり、脇のリンパの部分まで腫れているような感じがしたり……。授乳中は乳腺に母乳が詰まることによってしこりを感じるケースが多いですが、乳がんの症状のおそれもあります。乳がんによるしこりと、乳腺炎によるしこりの違いについてお伝えします。

・乳がんのしこりの特徴は?

乳がんのしこりには、ほとんど痛みがありません。指で触れると「ゴリッとした感じで硬い」か「表面がデコボコしている」「形が整っていない」「境目がはっきりしない」といった特徴があります。
セルフチェックは、赤ちゃんに母乳をあげた後、乳房がある程度やわらかくなった状態で行います。指先だけで簡単に触れるのではなく、指の腹で「の」の字を描きながら乳房全体を探るようにチェックしましょう。

ただし、授乳中は乳腺に母乳がたまっていることが多く、正確なセルフチェックは難しいことも。「乳がんのしこりかどうかわからないけど、気になる症状がある」というときには、乳がん検診を待たず早めに医師に相談してください。乳がんは早い段階で発見できれば、90%以上が治る病気です。

・乳腺炎(母乳の詰まりによる炎症)の特徴は?

乳腺炎とは、乳腺に母乳がたまり、それが詰まって炎症を起こした状態です。
赤ちゃんがうまく母乳を吸ってくれなかったり、同じ授乳姿勢を続けることで乳腺によって吸われる量に偏りがでたりすると、乳腺に母乳がたまることがあります。そして、乳房内にたまった母乳が乳腺組織を圧迫して炎症を起こし、痛みを伴うしこりになってしまうのです。

乳腺炎になると、最初はチクチクとした軽い痛みを感じます。そして症状が進むにつれて乳房の一部が赤く腫れ、その部分が固いしこりになります。しこりそのものに痛みを感じることが多く、発熱や頭痛などが起きたり、母乳が黄色っぽい色になったりすることもあります。

乳腺炎は授乳期によく起きる症状ではありますが、重症化すると手術によって乳房を切開し、炎症によってたまった膿を排出するなどの処置が必要になるケースも。自己判断に頼らず、おかしいなと感じたら医師に相談しましょう。 

授乳中も、乳がん検診を受けましょう

以前は「妊娠・授乳中に発見された乳がんは、手術後なかなか回復しない」といわれたこともありましたが、それは発見が遅れてしまいがちだったことが原因。現在では、妊娠・授乳中に乳がんが見つかっても早期治療を行えばきちんと回復するという見解がでています。

また、授乳中であっても積極的な乳がん治療が可能です。ただし使用する薬の種類によっては母乳の中に分泌されるものもあるため、医師と相談のうえで治療方法を決めていきます。

授乳中は赤ちゃん優先で自分の体調を後回しにしてしまいがちですが、お母さんの健康と笑顔が赤ちゃんにとって一番大切だということを忘れず、自分の体もケアしてあげましょう。乳腺が発達していてセルフチェックが難しくなる授乳中こそ、ぜひ乳がん検診を受けるようにしてください。
また、卒乳後に次の妊娠・出産をお考えの方は、卒乳後に次の妊娠を考えたときに、妊娠前に乳がん検診を受けていただくこともお勧めします。

PROFILE

【監修】池田紫先生 MURASAKI IKEDA

むらさき乳腺クリニック五反田 院長
日本医科大学卒業後、昭和大学病院にて研鑽を積み、ブレストセンター設立にも携わる。2011年にはシンガポールに留学し、ホルモン剤や分子標的治療薬が効かない乳がんの病理特徴についての研究に従事。
2018年、むらさき乳腺クリニック五反田を開院。昭和大学病院、およびその他の大学病院やがん専門病院、総合病院と連携し、納得のいく治療が受けられるトータルサポートをしている。
http://www.murasakibreastclinic.com/