乳がんのステージ(病期)が示すことは?症状や生存率などを知ろう

knowledge : おっぱいを知る

DATE : 2018.10.15

乳がんのステージ(病期)が示すことは?症状や生存率などを知ろう

乳がんの進行度を示す「ステージ(病期)」はよく耳にする言葉のひとつでしょう。ステージを知ることで、どのような治療が最善なのか検討することができます。この記事では、ステージの分類の仕方やステージごとの症状・生存率など、医師の監修のもと解説します。

目次
・ステージ(病期)の定義について
・ステージごとの乳がんの症状および生存率
・乳がんの初期治療と再発・早期発見について

監修:むらさき乳腺クリニック五反田 院長 池田紫先生 

ステージ(病期)の定義について

乳がんと診断されたら、治療の方針を決めるため、その進行度を表す「ステージ(病期)」を知る必要があります。ステージは「しこりの大きさや広がり具合」「リンパ節の転移の有無」「他の臓器への転移の有無」などから定義され、大きく5段階に分けられます。

・国際的な分類法「TNM分類」

乳がんのステージ分類は、「しこり(Tumr)の大きさや広がり具合」「リンパ節(Node)への転移」「離れた他の臓器への転移(Metastasis)」のそれぞれ頭文字をとって「TNM分類」と呼ばれています。これは国際的にも用いられている分類法です。

ステージは0期からIV期まで大きく5段階に分かれ、さらに0期、I期、Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)、Ⅲ期(ⅢA、ⅢB、ⅢC)、IV期と8期に分類されています。 

ステージごとの乳がんの症状および生存率

乳がんは広がり方によって、がん細胞が乳管や小葉(しょうよう)の内側にとどまっている「非浸潤がん」と、増殖を繰り返して周辺の組織にも広がった「浸潤がん」に大別されます。ステージでは、0期は非浸潤がん、Ⅰ期以降はすべて浸潤がんとなります。

・非浸潤がんは完治の可能性が高い

非浸潤がんは、まだ転移のリスクが低く、局所の治療をすれば完治の可能性も高い状態です。ところが、乳管の外までがん細胞が沁み出してしまうと、浸潤がんとなり、さまざまな治療を組み合わせる必要が出てきます。浸潤がんの中でもⅠ期は「早期がん」と呼ばれますが、Ⅲ期以降は「進行がん」と呼ばれる状態になります。


・乳がんステージによる症状

【ステージ 0期】

乳がんが発生した乳腺の中にとどまっている極めて早期の乳がん。非浸潤がん。

【ステージI期】

しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節には転移していない。複数のしこりがある場合は、最大のものの大きさを測る。

【ステージⅡ期】

ステージⅡA期:しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移がある場合。またはしこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がない場合。

ステージ ⅡB期 :しこりの大きさが2~5cmで、わきの下のリンパ節への転移がある場合。またはしこりの大きさが5cm以上で、わきの下のリンパ節への転移がない場合。

【ステージⅢ期】

ステージⅢA期:しこりの大きさが5cm以上でわきの下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある場合。またはしこりの大きさが5cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、しかもリンパ節がお互いがっちりと癒着したり、周辺の組織に固定したりしている状態。またはわきの下のリンパ節転移がなく、胸骨の内側のリンパ節(内胸リンパ節)が腫れている場合。

ステージⅢB期:しこりの大きさやわきの下のリンパ節へ転移しているかにかかわらず、しこりが胸壁にがっちりと固定しているか、皮膚にしこりが顔を出したり皮膚が崩れたり皮膚がむくんだりしているような状態。「炎症性乳がん」もここに含まれる。

ステージⅢC期:しこりの大きさにかかわらず、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。あるいは鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。

【ステージIV期】

離れた臓器に転移している場合。乳がんの転移しやすい臓器は骨、肺、肝臓、脳など。


・乳がんステージによる生存率

乳がん(女性)の病期別生存率

乳がんは早期であれば「治るがん」といわれています。また、ある程度進行した状態でも治療法はあります。すべてのステージにおける乳がん罹患者の「5年相対生存率」は93.0%と、他のがんに比べても高いという結果が出ています。 

乳がんの初期治療と再発・早期発見について

乳がんの治療方針は、このステージごとにおおよその指針が決まっています。現在は、ステージだけでなく、がんのサブタイプ(生物学的特性)によって、科学的に証明されたもっとも治療効果の高いメニューが提示されます。
がんのサブタイプについては「乳がんの種類ってどんなものがある?分類・種類ごとの治療法について」のページをご確認ください。

・最善の治療法を選択するために

乳がんと診断されて最初に受ける治療を「初期治療」と呼びます。初期治療には、手術療法、放射線療法といった「局所治療」と、化学療法(抗がん剤治療)、ホルモン療法、抗HER2療法などによる「全身治療」が含まれます。

ステージ0期の非浸潤がんの場合は、原則として局所療法が選択されており、ステージⅠ~Ⅲ期の場合は、局所治療と全身治療を組み合わせた治療が行われます。


・転移と再発について

ひととおりの初期治療が終わったら、経過観察のために定期的に受診することになります。初期治療で目に見えるがんを取り除いても、目に見えないほどの小さながんが血液やリンパの流れに乗って、体のどこかに潜み続け、数年後に再び発症することがあるのです。

このとき、乳房や周辺のリンパ節で発症したものを「局所再発」、乳房から離れた他の臓器に出現した場合は「転移再発」と呼びます。

すべてのステージにおける乳がんの再発は約3割といわれています。多くは2~3年以内に起こりますが、進行が遅いタイプの乳がんの場合は、10~20年も経ってから再発することもありますので、乳がんの場合は初期治療から5年以上経っても経過観察が必要です。


・早期発見で生存率は高まる

どのような病気でも、早期発見・早期治療は大切ですが、なかでも乳がんは、早期発見が重要です。なぜなら、乳がん検診による検査で発見しやすく、早期発見できれば完治する可能性が高い病気だからです。乳がんステージⅠ期の5年生存率は9割以上と、他のがんと比べても生存率は高くなっています。

また、早期発見ができたら、乳房を温存するなど、自分の希望する手術法や治療法を医師と相談して選択することもできます。さらには、入院や再発防止の治療期間なども短くなりますので、経済的負担も軽くすみます。


乳がんを治す最善の方法は「早期発見・早期の治療開始」です。できるだけ早く発見し、ステージなど症状を充分把握して、前向きに治療をすることが大切なのです。

PROFILE

【監修】池田紫先生 MURASAKI IKEDA

むらさき乳腺クリニック五反田 院長
日本医科大学卒業後、昭和大学病院にて研鑽を積み、ブレストセンター設立にも携わる。2011年にはシンガポールに留学し、ホルモン剤や分子標的治療薬が効かない乳がんの病理特徴についての研究に従事。2018年、むらさき乳腺クリニック五反田を開院。昭和大学病院、およびその他の大学病院やがん専門病院、総合病院と連携し、納得のいく治療が受けられるトータルサポートをしている。
http://www.murasakibreastclinic.com/