ビタミンD、足りてますか?
実は仲良し?紫外線と幸福感。

『ホンマでっか!? TV』でも大活躍中の脳科学評論家・澤口俊之先生が、辛口の本音トークで現代人の悩みをズバスバとぶった斬る! 今回のテーマは、春の訪れとともに気になってくる「紫外線と健康」。シミ・そばかすを気にするあまり外出を控え、徹底的に日光を避けるのって、実は危ない!? 適度な日光浴がなぜ必要か、脳科学的な理論を交えながら教えてくれました。

「人生100年。健康長寿の秘訣は日光浴です」

「春になって日照時間が長くなると、美意識の高い女性は紫外線対策に力を入れ始めると思います。むしろ、1年を通して日光を浴びないようにしている人もいるかもしれませんが、頑張りすぎると不健康になってしまいますよ。

なぜなら、人間は日光を浴びることでビタミンDを合成します。ビタミンDが不足すると風邪やインフルエンザに感染しやすくなるし、認知症のリスクも上がるし、うつ病になる可能性も出てきます。日照時間が短い県は自殺率が高いというデータもあるくらいです。それなのに、日光を毛嫌いする女性が多いなんて……訳がわからないですね」

「そもそも、人類の祖先は20万年前にアフリカから世界各地に拡散していったと言われています。日照時間が短い地域に適応するためには、黒い肌を白くする必要がありました。体のメラニン色素を少なくすることで、紫外線によるビタミンD合成を促してきたわけです。つまり、美白を追い求めて過度に紫外線をガードするのは、人類の進化に反する行為なのかもしれません。

実際に、日本人の30%がビタミンD不足だと言われています。日照時間と紫外線量が少なくなる秋から冬にかけてはもちろん、春や夏にも注意が必要ですよ。

言うまでもなく、狩猟や畑仕事がメインだった時代と比べると、現代人は日光を浴びない生活を送っています。シミを気にするあまり、紫外線を避け続けて不健康になってしまったら元も子もありません。行楽シーズンが訪れたら、なるべく適度な日光を浴びるようにして欲しいですね」

「ちなみに、日本を含む北半球の多くの国々では、9月がもっとも死亡率が低いと言われています。夏休みなどの休暇中にしっかり日光を浴びてビタミンDの合成が促進された人たちは、健康で死亡率が低くなると考えられます。また、脳科学的にも、ビタミンDが多い人ほど判断力などが高く、認知症になりにくいこともわかっています。まさに健康長寿に不可欠なビタミンなんです。

もうひとつ、日光を浴びるメリットとして、脳内ホルモンのセロトニンの量が増えることが挙げられます。セロトニンには、安らぎを与える作用があり、人間の幸福感を大きく左右します。日照時間が短い冬や梅雨の時期に気分が憂鬱になりやすいのは、セロトニンの量が減るからかもしれません。

セロトニンの量が増えると、仕事や家事のモチベーションも上がって、ストレスにも強くなります。その状態を維持するためには、できるだけ晴れた日は早起きして、日光を浴びるようにしてください。また、ウォーキングや腹式呼吸、リズミカルな運動などには、いずれもセロトニン神経を活性化させる効果があることがわかっています」

「ビタミンDやセロトニンは食事で補うこともできます。ビタミンDは、紅ザケやマグロのトロのような脂肪分の多い魚や卵黄、きのこ類などに豊富に含まれています。セロトニンは、鶏肉に含まれるトリプトファンと米などに含まれるブドウ糖の組み合わせにより、脳内で合成されます。それらを効率良く摂取するためにも、脳科学者としては和食をオススメします。

とはいえ、近所を散歩しながら適度に日光を浴びるだけでビタミンDやセロトニンが増えるのですから、これほどコストパフォーマンスが良い健康法はありませんよね」

今回のおさらい

「ビタミンDは主に骨の成長のために必要と考えられていましたが、ここ数十年で研究が進み、全身の免疫、皮膚、脳にも重要な役割を担っていることがわかってきました。熱中症が気になる真夏は、外に出る時間帯を選び、食べ物でカバーする必要がありますが、春は積極的に日光浴を楽しんで、ビタミンD不足を防いでほしいところです」

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プロフィール


澤口俊之

さわぐち・としゆき/人間性脳科学研究所所長。専門は認知脳科学、霊長類学で、前頭連合野を中心に研究。「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)などのバラエティ番組出演や公演など幅広く活躍中。『脳を鍛えれば仕事はうまくいく』(宝島社)、『脳をこう使えば、ボケない、太らない』(小学館)など著書多数。

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写真/リンククロス イラスト/大嶋奈都子 編集・文/浅原聡 監修/澤口俊之

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