最終話 がんで死ぬのも悪くない?

よく耳にする「がん」という病気のこと、あなたはどれくらい知っていますか? 備えあれば憂いなし、まずはがんについて知るところから始めましょう。健康のことが気になるりんちゃん家族と共に、楽しく解説します! いよいよ本連載もラスト! 最後は、中川先生からの、がんになってもポジティブに考えようというメッセージです。人は必ず亡くなるからこそ、がんは人生を振り返る時間をくれます……。がんになったから悲しいではなく、がんになったからこそ前向きに考えることが大切なんです。

がんは、人生の
総仕上げの時間をくれる。

今まで本連載で、さまざまながんについてのお話をしてきましたが、最後はがんになったとしても決して憂うことはないというお話をさせて頂きます。

そもそも現代人は「死」をまるでないものであるかのように考える傾向があります。「自分だけは死なない」「がんの話は聞きたくない」というわけです。この「死なない感覚」が、がん医療において「悪いところは手術で切り取ってサッパリしたい」という、完治のみを追求する姿勢につながっていると、私は考えています。

生命が永遠に続くならば、がんが治ることこそ大事でしょう。しかし、がんが治っても、人間の死亡率は100%です。

ある膵臓がんの男性の患者さんは、学生時代に起業した上場企業のオーナー経営者で、携帯電話用ソフトウェアのトップ企業を育て上げ、個人資産は膨大と聞きます。

手術のあとに再発し、肝臓に転移がありました。膵臓がんには、ジェムザールという抗がん剤が特効薬なのですが、副作用が仕事に差し障ると拒否され、放射線治療や医療用の麻薬で症状をとりながら、会社経営を続けました。

亡くなる直前まで仕事を続け、前日は自宅で過ごし、まだ小学生のお子さんにもがんの話をして、来客とも会われたそうです。そんな姿をみていた家族や会社の人は、その患者さんが、いまでも生きているようだとおっしゃいます。

がんは、交通事故や、心筋梗塞、脳卒中などとは異なり、亡くなるまでに最低でも数ヶ月~数年の時間的猶予があります。がんは、人生の総仕上げの時間をくれるのです。

交通事故などで突然命を落とすと、本人はもう死んでいるので何も分かりませんが、残された人たちは大変です。そもそも死とは、生きている者にとってのみ意味があるはずです。その点、がんという病気は、患者本人が、周囲に自分が死んでからのことを託すことができる病気だと言えます。

私は、「死ぬなら、がんがいい」と思っています。

——参考文献『がんのひみつ 最新版』中川恵一著(朝日出版社)

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プロフィール


鈴木ポガ子

すずき・ぽがこ/アスキー・メディアワークス第1回デジタルMANGA新人賞デジタルコミックエッセイ部門で部門賞を受賞し、2013年より漫画家・イラストレーターとして活動。50回に及ぶリンククロスでの長期連載「がんのことみんな知ってる?」のほか、ぬか漬けマンガ『ぬかロイド花子』が電子書籍として発売中。最新情報は@pogako

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漫画/鈴木ポガ子 編集・文/井上峻 監修/中川恵一

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