第40話 心の痛みをケアする。


よく耳にする「がん」という病気のこと、あなたはどれくらい知っていますか? 備えあれば憂いなし、まずはがんについて知るところから始めましょう。健康のことが気になるりんちゃん家族と共に、楽しく解説します! 前々回からお伝えしている緩和ケアですが、それは体だけでなく心にも関係のある話。がんになると、体だけでなく心にも大きなダメージを受けるものです。緩和ケアは、そんな傷ついた心も支えてくれます。

体の苦痛だけでなく
心の痛みも緩和させる。

これまでの緩和ケアの考え方は、抗がん剤などを使えるうちは治療に専念し、打つ手がなくなってはじめて緩和ケアに移行するというものでした。ですから「緩和ケア」と聞くと、「終末期にのみ受ける医療」と誤解されている方も少なくありません。

しかし最近では、診断を受けた直後から緩和ケアを受けることが大事だと考えられるようになってきました。そのため、2012年に見直された「がん対策推進基本計画」にも、従来の「初期からの緩和ケア」に代わって、「診断時からの緩和ケア」が盛り込まれました。治療と緩和ケアは同時並行で行われ、病状によって、ウェイトが変わってくるだけなのです。

「治癒」という言葉がありますが、「治す」と「癒す」を両方ほどこすことが大事だという先人の知恵でしょう。痛みは体の苦痛ばかりではありません。実際に早期の場合、体の痛みはありませんが、告知による心の痛みはあるはずです。加えて、勤労世代であれば仕事のこと、家計のこと、家族のこと、死への不安など…、不安材料は山ほどあるのです。

治療とケア、「常に」両方必要。

実際、早期から患者さんの心の痛みをとった方が延命になり、抗がん剤投与の回数も少なく済むことが分かってきています。転移のある肺がん患者さんでの無作為比較試験(多数の患者さんを治療A、治療Bにくじ引きで割り当て、治癒率を比較する試験)があります。

治療Aは、通常の抗がん剤治療に加え、必要な時にカウンセリングなど心のケアを施したグループ。治療Bは、患者さんの要請あるなしにかかわらず、一律に心のケアを行ったグループ。比較したところ、一律に心のケアを受けた治療Bのグループの方が、約3ヶ月の延命効果がありました。また治療Bのグループでは、うつ症状が少ないばかりか、抗がん剤の使用量も少なくなっていました。治療とケアは「常に」両方とも必要なのです。

また、病気のことを忘れて心から楽しむ時間を持つことも大事です。

前立腺がんと診断されたタレントの間寛平さんは、放射線治療とホルモン治療を受けながら、マラソンとヨットで地球を一周する「アースマラソン」を走りぬきました。「静かに養生するのがいちばん」と誤解する方も多いのですが、骨への転移で骨折する危険がある場合などを除いて、実は、生活上の制限はほとんどありません。

むしろ、おいしいものを食べ、可能な範囲で適度な運動をした方がいいのです。

——参考文献『がんのひみつ 最新版』中川恵一著(朝日出版社)

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プロフィール


鈴木ポガ子

すずき・ぽがこ/アスキー・メディアワークス第1回デジタルMANGA新人賞デジタルコミックエッセイ部門で部門賞を受賞し、2013年より漫画家・イラストレーターとして活動。50回に及ぶリンククロスでの長期連載「がんのことみんな知ってる?」のほか、ぬか漬けマンガ『ぬかロイド花子』が電子書籍として発売中。最新情報は@pogako

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漫画/鈴木ポガ子 編集・文/井上峻 監修/中川恵一

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