がんのことみんな知ってる?

第38話 「痛み」が見逃されている。

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よく耳にする「がん」という病気のこと、あなたはどれくらい知っていますか? 備えあれば憂いなし、まずはがんについて知るところから始めましょう。健康のことが気になるりんちゃん家族と共に、楽しく解説します! 今回は直接の治療に関してではなく、「痛み」の問題に関して。日本人には従来、ガマンすることを美徳とする文化がありますが、がんでは、それはあまり良くありません。痛みやつらさを和らげる緩和ケアの考え方について、数回に渡って掘り下げていきます。

無理にガマンしない。
がんの痛みは治療できる症状。

日本ではこれまで、「がんを治す」ことに力を注いできました。いかにがんを小さくするか。いかに5年生存率を高めるか。まさに、勝ち負け重視の医療です。そのため、患者さんの抱える「つらさ」を、見過ごしてきた面があります。

「がんなのだから痛みがあるのが当然」「痛みをガマンすることが治療を頑張ることだ」「つらいなどと医者に言うべきではない」。そう思い込んで、痛みやつらさを医者に訴えずにいる患者さんも多いのです。

私も子どもの頃、母親に「痛い」と言うと、「ガマンがいちばん」と言われたものでした。日本人には、痛みをガマンすることが病気を治すことにつながるという誤解があるのかもしれません。しかし、それは間違っているのです。がんの痛みは治療できる症状です。

欧米では、がん患者さんの抱えるさまざまな痛み・つらさを和らげることを主眼として、緩和ケアの考え方が確立されています。緩和ケアとは、苦痛を和らげることで、がん患者さんと、その家族の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を保つ方法です。

痛いは本人にしか分からない。
症状から病変の発見も。

日本でも、ようやくがんに関わる医師に対して「緩和ケア研修」が行われるようになり、徐々に医療現場の体制も整いつつあります(私は放射線科の治療医ですが、同時に、緩和ケア診療部の責任者でもあります)。しかし、まだ十分ではなく、医師の認識にもばらつきがあります。

痛みや、気になることがあったら、遠慮せず、主治医に伝えましょう。痛みは本人にしか分からないことです。症状から病変などの発見につながり、診断・治療の予後(治療後の病気の経過)を左右することもあります。

具体的に、「いつから、どこが、どんなふうに、どのくらい」痛むのかをメモにしておくといいでしょう。日本でも、はやく「がんでも痛まない」が常識になる日が来ることを願っています。

——参考文献『がんのひみつ 最新版』中川恵一著(朝日出版社)

プロフィール

中川恵一

なかがわ・けいいち/1960(昭和35)年東京生まれ。東京大学医学部附属病院放射線科准教授。東京大学医学部医学科卒業後、スイス、ポール・シェラー・インスティチュートに客員研究員として留学とした経験をもつ。著書に『がんのひみつ』『がんの練習帳』など、がんにまつわるもの多数。

鈴木ポガ子

すずき・ぽがこ/アスキー・メディアワークス第1回デジタルMANGA新人賞デジタルコミックエッセイ部門で部門賞を受賞し、2013年より漫画家として活動。リンククロスでの連載のほか、ぬか漬けマンガ『ぬかロイド花子』が電子書籍として発売中。最新情報はこちら@pogako

漫画/鈴木ポガ子 編集・文/井上峻 監修/中川恵一

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